看護師の三姉妹育児

三姉妹を育てる看護師です。小学生になった姉妹とイヤイヤ期目前の末っ子とのリアルな日常を綴っていくブログです。

緊急帝王切開後のつらい気持ち

私は初めての出産で緊急帝王切開となりました。

予定日の前日に破水してしまい、赤ちゃんの心拍数が異常に速く、お腹の中でマラソンしているような状態だよと言われました。

陣痛が来る前に破水すると、感染の危険や羊水が減り赤ちゃんが弱ってしまうおそれがあります。

もしかして破水かな?と思った時はお風呂などには入らず速やかに病院へ連絡して下さいね。

私の場合、尿もれと迷うほどの少量でしたが破水でした。

感染の兆候はありませんでしたが、陣痛促進剤を使用しても子宮口はほとんど開かず、娘の心拍数は変わらなかったために緊急帝王切開となりました。

その時はとにかく赤ちゃんが心配で、無事に生まれることだけを祈り慌ただしく手術を受けました。

迅速な対応のおかげで娘は元気に生まれてくれました。

娘の産声を聞いた時は、無事に生まれた安堵の気持ちとこれまでにない感動がありました。



しかしその夜から、娘への愛しい気持ちとともに自然に産めなかった自分への劣等感に囚われていったのです。

周りのお母さんたちは、陣痛が何時間かかったとか、産声を聞いて旦那さんも泣いていたとか会話が弾んでおり、キラキラと達成感にあふれているように見えました。

それに比べ、私の心はもやもやと曇がかっているようでした。

私には産む時の痛みはわからない。
旦那さんにも産声を聞かせてあげられなかった。
普通に産んであげられなかった。

旦那さんにも、お義母さんにも、誰にも何も言われていないのに、自分で自分のことを不完全な母親のように思ってしまうのです。

そしてそんな風に思う自分を小さい人間だと思い、誰にも打ち明けられず、ただひとり心の中に閉じ込めていきました。

その悲しさは帝王切開の傷よりも長く、深く、続いていきました。

自分が経験するまで帝王切開での出産についてそんな感情は微塵もありませんでした。

母体と胎児を守るための大切なものであり、術後は看護師として傷の痛みに対してのケアが必要だと感じていました。

しかし友達の出産話や私も帝王切開にしてほしかったなどと聞くと、胸が苦しく痛むのでした。


そして今回、3回目の帝王切開を経験しました。
長女の時から7年たち、その間気持ちはゆっくりと変化していきました。

大きく変化したのは次女を妊娠した時です。

ネガティブな思いから抜け出したくて、VBACブイバック(前回帝王切開後の普通分娩のこと)を検討していました。

VBACには危険が伴います。帝王切開で一度傷が付いた子宮は、普通分娩の陣痛に耐えきれず子宮破裂を起こすリスクが高まるのです。
子宮破裂を起こせばお母さんも赤ちゃんも命の危険が伴います。

そのため条件として、帝王切開の経験は1回までとなっており、次女を帝王切開で出産すれば二度と自然分娩のチャンスはないのです。

リスクを伴うと知っても挑戦したい気持ちは帝王切開を経験してない人には理解しにくいかもしれません。

産後の傷の痛みや傷痕、手術への恐怖、長引く入院など理由はそれぞれだと思いますが、その気持ちは痛いほどわかります。


しかし今もし迷っている方がいるなら、私は帝王切開をおすすめします。

理由は簡単で、自分や赤ちゃんにとってのリスクが少ない方を選んでほしい。ただそれだけです。

次女を出産し、あの時に帝王切開を選んだから母子ともに無事に出産を終えれたのだと感謝の気持ちを持てるようになりました。

小さな娘が私のお腹の傷を見て、ここから生まれたんでしょ?と可愛い表情で聞いてくることがあります。

そうだよ。がんばったね。と言うと、照れくさそうに笑い、ママもがんばったね。と言ってくれます。

悲しさは時々忘れた頃に顔をだすこともあります。
でも自然分娩でも、帝王切開でも、無事に生まれてくれた奇跡を尊く思うようになりました。


これからも心の傷と上手に付き合っていこうと思います。